「第25回地域伝統芸能まつり」 テーマ:源(げん)
各地の地域伝統芸能や古典芸能が一堂に会するイベント「第25回地域伝統芸能まつり」を3月2日、東京都渋谷区のNHKホールで開催。「源」をテーマに地域伝統芸能7演目、古典芸能1演目が披露されました。
オープニングでは、地域伝統芸能まつりの25年の歴史を映像で短く振り返り、その後出場者全員がテーマ曲「曼荼羅21」にあわせて元気よくステージに登場。観客を前に士気を高め、まつりの始まりを活気づけました。
披露された最初の演目は、大分県豊後大野市から「御嶽神楽」。古事記をもとにした神話で構成される御嶽神楽が今回演じたのは、「岩戸開」。天照大神を誘い出す舞が神楽の原点と言われていることにちなみ、ユーモアも交えた迫力ある演技を見せてくれました。
次に登場したのは、新潟県十日町市から「新保広大寺節」。新保広大寺節は日本民謡のルーツとも言われ、全国各地の「口説」の源流ともなっています。唄はもちろんのこと、踊り手たちの、腰を据えて手さばき、足さばきする、切れの良い踊りにも注目が集まりました。
続いて、山梨県甲府市の「天津司舞」。9体のご神体である人形を「御船」と呼ばれる囲いの中で操って舞わせる天津司舞は、日本最古の人形劇のひとつと言われており、受け継いでいく保存会の皆様の姿勢に、伝統の尊さを感じました。
続いて、石川県輪島市の「御陣乗太鼓」。上杉謙信が奥能登に攻め込んだ際、上杉軍を退散させたという謂れのとおり、独特の迫力を感じるパフォーマンスでした。震災や豪雨災害にも負けず、伝統を守り伝えていく力強い姿に、会場からはひときわ大きな拍手が送られました。
そして第2部は、古典芸能からスタート。今回の半能「高砂」は、能の大成者として知られる世阿弥の代表作のひとつで、神をシテ(主人公)とする祝言性の高い目出度い作品です。シテである住吉明神を梅若紀彰さん、ワキである神主友成を御厨誠吾さんに演じていただきました。
続いて、福井県勝山市から「勝山左義長ばやし」。小正月の伝統行事である左義長(どんど焼き)ですが、演者がみな長襦袢を着用し、短いばちを持ち太鼓を打ち鳴らすこの芸能は、全国で勝山市だけのものです。太鼓に座って音の調整をするのも独特で、演者の笑顔と個性的な演技に会場にも笑みがこぼれました。
続いて、兵庫県宍粟市から「宇原獅子舞」。地域外からの受け入れ、女性の参画、オンラインの活用により、新しい保存会の形を作り上げました。演目は、最も難易度の高い「梯子」を披露。見上げる高さの梯子を上っていく毛獅子の演技に、息を吞む観客の様子も見られました。
最後に登場したのは、徳島県徳島市から「阿波おどり」。世界的にも知られた阿波おどりは、日本各地にも根付き、新しい未来への可能性を感じさせてくれます。今回は、徳島市の阿波おどり振興協会とともに、高円寺の姉妹連も参加する珍しいコラボレーションが実現しました。熱気あふれる阿波おどりの興奮冷めやらぬなか幕を閉じ、客席からは、盛大な拍手が惜しみなく送られました。
なお、地域伝統芸能まつりは、25回目となったことを踏まえ、これを一つの区切りとして、今回をもって終了いたします。長年にわたり、ご協力、ご支援を賜り誠にありがとうございました。
当日のアンケートに寄せられたご意見
・継承者の志や思いなど生の声が聞けて良かった。
・伝統芸能の多様性、楽しさを感じることが出来た。
・知らなかった素晴らしい伝統芸能を知ることが出来て、楽しかった。
・地域の伝統芸能を守ろうという意気込みをすごく感じることが出来た。
・現地でしか見られないものを見られて、活力をもらった。
・実際に伝統芸能が行われる場所へ足を延ばしてみたい。
・地域の伝統芸能が受け継がれ、発展していくことを応援したい。
・後継者が育っているのを目の当たりにし、今後にも期待したい。